この記事ではあつぎ飯山温泉を
日帰り温泉としての使いやすさの視点で紹介します。

泉質、混雑、施設、アクセスなど
実際の体験をもとにまとめています

――東京から一時間、異世界は意外と近かった

近さが生む違和感

厚木は、何より近い。
東京から車で一時間ほど。
距離だけ見れば、日常の延長だ。

それなのに、飯山まで来ると、
時間の流れが一段、ずれる。

駐車場に車を停め、
入口へ向かうと、まず大きなたぬきが迎えてくれる。
この時点で、こちらの感覚は少しずつ持っていかれる。

細い石畳を下っていくと、
浴衣姿の客とすれ違う。
もう、完全に日常ではない。


旅館という空間の力

エントランスの土間に入ると、
従業員総出の出迎えがある。
大げさではないが、手を抜いていない。

その瞬間、ふと記憶がよみがえった。
――ここ、前にも来たことがある。

たしか二十年ほど前、
会社の旅行で泊まった。
あのときは、温泉より麻雀で夜を明かした気がする。

こういう場所は、
人生のあちこちに、ひっそりと残っている。


ぬるめの湯と、長い時間

大浴場の第一印象は、
「少しぬるい」。

だが、それが悪くない。
江戸時代後期創業の温泉場は、
かつて湯治場として栄えた土地だという。

ぬるめだからこそ、
何度でも入れる。
身体に負担がかからず、
時間だけが、ゆっくり積み重なる。

泉質はアルカリ性で、pH9.9
強めのアルカリ性単純温泉だ。
角質をやわらかくするとされ、
「美人の湯」「美肌の湯」と呼ばれることも多い。

実際、湯から上がったあと、
肌がどうこうというより、
身体の力が抜けている感覚が残った。


たぬきと人と建物

浴場には、たくさんのたぬきがいる。
装飾としては、正直、好みが分かれるかもしれない。

だが、この旅館では不思議と浮かない。
浴衣に草履で歩き回っても、
建物と身体が、きちんと馴染む。

廊下ですれ違う従業員は、
皆、明るく挨拶をしてくれる。
作業的ではなく、
「この場所を使っている人同士」という距離感だ。


夕食と、語られる時間

夕食は、鮎を中心とした献立。
量も十分で、満足感がある。

部屋付きの女中さんが、
料理を一品ずつ丁寧に説明してくれる。
この一手間が、
食事を「作業」から「時間」に変える。

部屋には、
元湯旅館に伝わるたぬき伝説のチラシが置かれていた。
動物と温泉の話は、
不思議と各地に残っている。

たぬきも、温泉も、
人が長く集まった場所に、
自然と物語が生まれるのだろう。


なぜ、ここは「異世界」に感じるのか

元湯旅館が異世界に感じられる理由は、
派手さではない。

  • 近いのに、急がされない
  • ぬるい湯が、時間を奪わない
  • 人の距離が、近すぎない
  • 歴史が、説明されすぎない

これらが重なると、
人は自然と、日常から外れる。

東京から一時間。
だが、戻るときには、
確かに一度、別の世界を通っている。


近い異世界という贅沢

遠くへ行かなくても、
異世界はある。

あつぎ飯山温泉「元湯旅館」は、
そう教えてくれる場所だった。

また、理由もなく、
ふらっと来る気がする。


■ 日帰り・宿泊メモ

■ 日帰り・宿泊メモ
・場所:あつぎ飯山温泉 元湯旅館(神奈川県厚木市飯山)
・泉質:アルカリ性単純温泉(pH9.9)
・湯温:ぬるめ
・創業:江戸時代後期
・雰囲気:異世界感あり、歴史と人の距離が近い
・食事:鮎中心、量・説明ともに丁寧
・向いている人:近場で時間の流れを切り替えたい人、ぬるめの湯で何度も入りたい人

投稿者 k.hayama

温泉巡りと不動産の仕事を通じて感じたことを記録するブログ。伊豆・関東近郊の温泉、調整に使える場所、判断の話を静かに書いています。

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